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東京地方裁判所 平成6年(特わ)788号 判決 1994年8月16日

本店所在地

東京都中央区銀座六丁目四番八号 飯島ビル二号館

株式会社

薔薇画廊

(右代表者代表取締役 後藤順江)

本籍

東京都大田区南雪谷三丁目一二番

住居

東京都大田区南雪谷三丁目一二番二五号

会社役員

後藤順江

昭和一〇年一〇月一三日生

主文

被告人株式会社薔薇画廊を罰金一六〇〇万円に、

被告人後藤順江を懲役一〇か月に処する。

被告人後藤順江に対し、この裁判が確定した日から三年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社薔薇画廊(以下「被告会社」という)は、東京都中央区銀座六丁目四番八号飯島ビル二号館に本店を置き、絵画その他美術品の販売等を目的とする資本金八〇〇万円の株式会社であり、被告人後藤順江(以下「被告人」という)は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和六三年一一月一日から平成元年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二一四五万八二一九円(別紙1修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成元年一二月二七日、東京都中央区新富二丁目六番一号所轄京橋税務署において、同税務署長に対し、その欠損金額が一三〇一万〇〇三八円で納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額七六五万三六〇〇円(別紙3ほ脱税額計算書参照)を免れ、

第二  平成元年一一月一日から平成二年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億一一五二万八五六六円(別紙2修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成二年一二月二七日、前記京橋税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四一一九万二七六八円で、これに対する法人税額が一四七三万八三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額八三二七万一四〇〇円と右申告税額との差額六八五三万三一〇〇円(別紙3ほ脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠)

判示全部の事実について

・被告会社代表者兼被告人の公判供述

・被告会社代表者兼被告人の検察官調書九通

・土屋信昭、河村喜久栄の各検察官調書

・売上高調査書、期首商品たな卸高調査書、仕入高調査書、期末商品たな卸高調査書、交際接待費調査書、支払手数料調査書、運搬費調査書、受取利息調査書、割引債権償還益調査書、雑収入調査書及び道府県民税利子割調査書

・検察事務官作成の報告書(検察官請求番号項二、五、七、一〇、一四、一六、二八、三三)

・登記簿謄本

判示第一の事実について

・交際費の損金不算入額調査書及び申告所得金額調査書

・検察事務官作成の報告書(甲二一)

・法人税確定申告書一袋(平成六年押第七九七号の1)

判示第二の事実について

・雑損失調査書、事業税認定損調査書及び繰越欠損金当期控除額調査書

・検察事務官作成の報告書(甲一八、二四)

・法人税確定申告書一袋(同号の2)

(法令の適用)

被告会社の判示の各事実は、いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項に(各事実についての罰金刑の寡額については、刑法六条、一〇条により、平成三年法律第三一号による改正前の罰金等臨時措置法二条一項による)該当するところ、情状によりそれぞれ法人税法一五九条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪について定めた罰金の合計額の範囲内で被告会社を罰金一六〇〇万円に処し、被告人の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に(各所為についての罰金刑の寡額については前に同じ)該当するところ、所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一〇か月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

(検察官 金澤勝幸、弁護人 系光家 各出席)

(求刑 被告会社に対し罰金二五〇〇万円 被告人に対し懲役一〇か月)

(裁判官 堀内満)

別紙1 修正損益計算書

<省略>

別紙2 修正損益計算書

<省略>

別紙3 ほ脱税額計算書

株式会社 薔薇画廊

(1) 自 昭和63年11月12日

至 平成元年10月31日

<省略>

(2) 自 平成元年11月1日

至 平成2年10月31日

<省略>

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